2009年4月11日松戸森のホール21。AB℃ツアー初日。
有原栞菜が外反母趾療養のため不在のままはじまる初日。
℃-uteはまた苦難の道を歩む…。なんとなくそういう空気がありました。
ポジティブなノリではなくても、「欠けた穴をどう埋めるのか?」…
周囲の興味のすべてはその1点に集中していたといってもいいかもしれません。
2月26日に有原栞菜の活動休止が発表されてから、一切の情報は遮断されており、
シングルにも不参加で、ジャケットにもクレジットにも一切名前がない状態。
ショップの写真も、新製品としては栞菜のものは無く、コンサートグッズも同様。
「有原栞菜更迭…もしくはクビへの序曲」…そんな心無い、浮ついた妄言を繰り返す馬鹿どもの増長。
それにのっかって、ギャグだとしても許せないレベルの、唾棄すべき下劣な発言があふれる世界。
栞菜単推しの皆さんの苦悩はいかばかりだったか。
いや、それ以前にメンバー6人(7人)の苦悩を考えたら。本気でちょっと心が絞めつけられました。
向かい風の中での初日。
こんな状況にどう一石を投じるつもりなのか。
ファンのみんなへ、言ってみれば「どんな言い訳」をしてくるのか?
自分的には、大げさな意味ではなく、歴史を見に行きました。
行ったんですね。やや期待過剰に。
コンサート冒頭のMCで、リーダーの矢島舞美が有原栞菜不在について、説明と挨拶。
そこには公式発表以上のものは何もなかったのですが、とにかくリーダーが肉声で説明をしたってのは事実で。
(まぁその前からラジオでは触れていましたけど)
結論から言えば、栞菜の不在をまったく意識していないセットリストでした。
言い換えれば、「栞菜がいても、いなくても、このセットリストだったのだろう」と。
なっきぃとのペア曲「愛してる愛してる」では日替わりで、梅田、岡井、萩原がローテーションする。
各楽曲の栞菜パートは、メンバーがサポートする。
ダンスフォーメーションは6人モードに変更(栞菜を意識するなら、「めぐる恋の季節」はやらなかったと思う。この曲は2-3-2システムになる部分が多いので)。
まるで、「学校行事でお休みなんですよー」くらいの処置。
それでいて6人は、「栞菜不在を言い訳にしたくない!」と言わんばかりの、異常なまでに気合の入ったステージングでした。
℃-uteは負けず嫌いばっかりだからなー。
ここんとこ、スタッフとメンバーの間での、若干の意識の差があったような気が。そりゃあるか。
もっとも気合いが入っていた、と感じたのは鈴木愛理でした。
新キャラクター・キャロライン愛理として、コントとタップを引っ張る役割。
MCでなっきぃとフリーで絡む。ソロ曲もある。
さらには、栞菜の担当だった「まっさらブルージーンズ」の最初のアオリを担当になる。
オリジンはちっさーだった「僕らの輝き」の歌いだしを担当する。
たったひとりの、中学3年生の女の子が、2時間程度コンサートで、これだけの重要な役割りを課せられたのです。
もとより責任感が強い子ですから(お前なにを知ってんだよ)、どれほどの気合いで臨んだことでしょう。
気負いすぎとも取れるほど。
初日夜の回では、声がややカスれてましたからね(これが後に大阪での不調へつながるとは…)。
1日の2回のライブで声が枯れる。そんな愛理は、Buono!の最初のコンサート以外で見たことないです。
6人が大なり小なり、そういう、気負った気持ちでステージに立っていたと思います。
初日でありながら、すさまじい完成度のステージでした。
約一ヵ月後に見た千秋楽と、「完成度」という意味ではほぼ同等の仕上がりに感じました。
(↑ここが進化するグループBerryz工房と違うトコロだと思ってるけど、それはまた、別の物語)
改めて、すごいグループだと感じました。
中高生のグループですよ。なのにもう完全に、意識はプロじゃないですか!
ただ、前述したようにそれは僕の当初の期待値とはまったくベクトルが違うものでした。
それこそ、泣かせにくるかとも思っていたし、前回のツアーとどう変えてくるか、みたいな部分を気にしていたんですね。
ゆえに「まっさらブルージーンズ」と「JUMP」は、むしろ蛇足なんじゃないかな、と思えてしまったんです。
完成度が高かったから、高い気合いが分かるから、ド定番曲はいらなかったんじゃないか、と。
なんつーか、「これじゃいつものコンサートと変んなくなっちゃうジャンか!」と思ったんです。
ただ、それはじつはそのとおりが正解で、「いつもと変らない℃-ute」をアピールしなきゃいけなかったんですよね。
後からそこに気がついて、自分は浅はかだなーと、本気で思ったりしましたが。
まぁーなんというか、ステージングがファンの意識よりも1歩先に行ってるんですよね。
だからファンがついて行くのにがんばらなきゃいけなくなっちゃった。
そういう意味でメンバーとファンがきれいに融合したのは、八王子を経た、
ゴールデンウィークの中野公演からじゃないかと思います。
ただ、ひとつ有原栞菜の存在を強く強く感じた部分があったんです。
ラスト前で歌った「僕らの輝き」です。
そもそもが、梅田・岡井・有原が2ndで歌った曲を、なぜラスト2曲って場面で、
しかもこのツアーで歌う理由はなにか? だって全然定番曲じゃないんですよ。
それは間違いなく、有原栞菜との絆のためだと、僕は信じます。
涙が浮かぶよな/夜中も/なかなか起きられない/朝も
仲間とならば/心強いし/歌えば尚また楽しい
家族とならば/黙っていても/なんとなく分かるだろし
毎日笑う/毎日遊ぶ/毎日エールを贈る [僕らの輝き]
この瞬間。ステージの上には7人いたんだと思います。
肩を組んだ7人姉妹が。
異口同音でヲタのみなさんが口にしてました。まったく同感です。
ていうか、7人の姿が見えないヤツが「ぼぼぼくは℃-uteのファンなんだなハァハァ」(誰?)とか言わないでください。そんな感じ。
とはいえ、自分の思ったものと違ったベクトルのコンサートに戸惑いを抱えながら、
それでもすばらしい完成度のステージを見て、
あまりにも力強い℃-uteメンバーの姿に心を打たれて、
やや困惑したまま、結論が見えないまま、次の戦場へ。
そう、八王子に備えることになる僕だったのです。 つづく
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