自分の魂の大事な部分の数%を形成するバンド「JUDAS PRIEST」。
ヘヴィメタル界の重鎮にしてメタル・ゴッド。
初めて聞いたのはたしか高校生だったから、「Painkiller」か、「Turbo!」のどっちかだと。もう定かじゃない。
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バンドの顔と言えるボーカリストのロブ・ハルフォードが1993、4年あたりに脱退。
これは、ロブが自身のソロ・ワークスを重視したので、
実質的なリーダーのギタリストKKの怒りを買ったから、ということになっている。
ロブはそんなつもりはなかったらしいのだが、当時KKは「ロブは裏切り者だ」とインタビューで怒りをあらわにしていた。
しかし、よくある「音楽性の違い」とか「方向性の違い」なんかではない。
ロブのソロもガチガチのヘヴィメタルなのだから。
マネージメントを担当する人間が当人同士を話し合いさせていたら、こうはならなかったと思うのだ。
ビジネスが絡むと、こういうふうになることはよくある。
つまらん誤解や風評が、人の関係を壊していく。
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バンドは代わりのボーカル探しに2年近くの時間をかけ、アマチュアだったティム“リッパー”オーウェンスを抜擢する。
1997年「Jugulator」をリリース。
1998年にはライブアルバム「Live Meltdown」をリリース。
2001年「Demolition」をリリース。
しかし、すべてが泣かず飛ばずだった。
それまで出したアルバムのほぼすべてゴールドディスクかプラチナディスクを獲っているのに、
この3枚はまったく売れなかった。
バンドのメンバー。それもフロントマンであるボーカルが代わるというのは、それほどの大きい衝撃だったのだ。
(脱退後のロブが進めていたソロワークスの数々も、ファンからは不評で売上不振だった)
結局、マネージメントや周囲の人間が動きまくって、
ロブとバント側との仲を復活させるため、2年近い時間をかけた。
2003年にロブは復帰し、ティムは解雇される。
いくつかのツアーを経て2005年。復活作「Angel of Retribution」をリリース。
メタル・ゴッドの帰還に、多くのファンが涙した。
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さて、歴史の授業はいいとして。
ここでの話は、件のリッパーオーウェンス在籍時のアルバム「Demolition」。
僕自身も、それほど好きじゃなかったアルバムなのだ。
疾走感がない。心に迫ってこない。耳にこびりつく声と音(フレーズ)がない。ギターに様式美がない。
端的に言ってバンドの音楽性そのものが変わってしまっているのだ。
あと、やっぱり大多数と一緒で「ロブじゃない」ってことが大きかった。
でも先日、ものすごく久しぶりにアルバムを聞いてみた。
やっぱり疾走感が無くて、様式美メタルとまで言われたジューダスプリーストっぽい音じゃまったくなかった。
そもそもリッパーの声は、時としてロブのような超ハイトーンにもなるけど、
どっちかというとダミ声系で、メタリカのジェイムス・ヘットフィールドみたいな歌唱法。
それに合わせたせいかもしれないけど、サウンドもメタリカっぽいんだよな、このアルバム。
ヘヴィでうねるようなサウンドで。
正統派メタルというよりも、モダンヘヴィネスというか。
発表年代も、そこらへんのいわゆるニューメタルが流行った時期だったし。
でも、聞いてるうちに、「ジューダスと思わなきゃ、まったくもってアリ」な良いアルバムだと気が付いた。
(しかしながら、前作「Jugulator」はそもそも音が悪くて、やっぱり厳しい)
先入観と過度な思い入れ。言ってみりゃ「信仰」みたいなものが、目(耳)をいかに曇らせるか!
良い体験になりました。
期待というのは、当人の勝手な思い込みであって、叶えられるものじゃないのだから。
たまには自分的に、世間的に評価が低いものも、平坦な目で見つめなおすことも大事っすね。
「Machine Man」って曲に「オシリペンペン」って空耳も発見できたし(笑)。
[いいですね]
何でも良ぉ知ってますよねぇー。
でも、音楽って良いもんですよねぇー。
時と共に良くも成るし劣化もするし
リリンの生んだ文化の極みですね(笑)
投稿情報: ロー | 2009/07/10 12:17