「信念を保て」
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デビュー35年を迎える、「メタルゴッド=神」とも讃えられるベテランヘヴィメタルバンド「JUDAS PRIST」。
2008年にドロップした16枚目のアルバム『NOSTRADAMUS』
バンド初になる2枚組み。そして初のメタルオペラによる一大コンセプト・アルバムだ。
まったくもってキャリア30年を超えるバンドがやらなくていいことばっかりが盛り込まれてる。
今日び、ノストラダムス言われても…。
しかし、描いたのは4行詩のファンタジー的なおどろおどろしい世界ではなく、人間の人生だった。
医師ノートルダムがルネサンスのヨーロッパ世界でペストと戦い、偏見と戦い、いつからか歴史家となったこと。
妻を子を、ペストで死に別れた、愛と悲しみ。
預言者ノストラダムスとなって尚、彼は挑み続けていた。「生きる」ことに。
ヘヴィでダーク、そして高いテンションが張り詰めたこのアルバムは、
疾走感こそ少ないものの、張り詰めるような緊張を感じ、怒りや歓喜、悲哀などが「音楽」として込められている。
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昨年秋。10月某日の月曜日夜。
僕は友人とJUDAS PRISTを観戦した。生き様=LIVEを見た。
東京国際フォーラム。数日前の武道館公演の追加公演が行われたのだ。
10列目。しかし、客の入りは月曜&追加公演ということもあり、ホール後ろ部分は閉鎖。
ライブハウスくらいの入りだったと思う。
もっと適切な小屋あるだろう?とか思うけど、まぁいいや。もくろみがハズれたんだろうな。
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『NOSTRADAMUS』を引っさげたツアーだが、ド定番とも言える名曲の数々が次々と披露される。
ステージの展開にあわせバックドロップ(舞台の背景)が、その曲の時期のアルバムジャケットに挿し換わる演出は、安いが「おぉ!」と見せられた。
ヘヴィメタルとは、アルバムジャケットのデザインに、ファンの思い入れの5割が込められていると言ってもいいから。
すべてに小手先なモノがないのだ。
コケオドシはいらないのだ。
ファンが望む世界と、自分たちの表現を噛み合わせ、ステージという空間を形成する。
なによりも、舞台にいるのは、JUDAS PRISTなのだ。
それだけで、「世界」が完成する。
ライブのすべてに一切よどみが無く、一切手抜きがない。一切の虚飾もない。
あおる。叫ぶ。歌う。拳を振り上げ、感動に震える。
初めて生で見るJUDAS PRIST。
4オクターブのハイトーンを叫び上げるロブ。
フォーメーションで掻き鳴らされるKKとグレンのツインギター。
楽しそうに最前の客にマイクを向けるロブ。
爆音。
轟音。
魂のぶつかり合い。
LIVEだった。
凄まじい生き様だった。
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「偽りなく挑め」
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戦っている。
JUDAS PRISTは戦い続けている。
デビューから35年。もう60歳近い。そんなことは関係がないのだ。
いくつだろうが、なんだろうが、日々を全力で、あらん限りの力でブチのめして生きる。
信念と共に、ためらわずに、ひたむきに、ひたすら。
ヘヴィメタルというサウンドへの信仰心は揺るがない。
70年代のパンクムーブメントに押しつぶされたイギリスで怪気炎を吐き続け、ヘヴィメタルを救った戦い。
80年代のアメリカ進出、そして成功までの長く、つらい戦い。
92年代に襲い掛かった、ロブ脱退というアクシデントとの戦い。
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この2008年のライブ(多分アメリカ公演)が収められたライブアルバムが輸入盤で発売になった。
「A Touch Of Evil-Live」がそれ。
じつは昨年のうちに、このライブのヘルシンキ公演のCDと、ニューヨーク公演のDVDが、ブートレグ=海賊盤で発売になってるんだけどな。何枚も。買ったけど。
圧倒的なテンションで展開されるライブが、完全にパッケージされている。
自分は、その場には居なかったのに、ライブを感じられるのだ。むしろDVDなんかよりもいい。
戦いの息吹が駆け抜けていく。
そうだ。この日に感じたはずだ。戦いを。
変らずに、全力で、ためらわず、戦うことを。
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そういや、Keep the FAITHには、「しっかりしてください!」という意味もあるんだった。
「しっかりしてください」ですか(汗)
歌は、自分の心ひとつで、沢山のメッセージを受け取る事が出来る希望の宝箱ですね。
オレも、しっかりしないと。
投稿情報: ロー | 2009/07/19 05:22