すべからく、すべての兵器というものは、戦局や戦場にあった用兵方法があるわけで、
それを誤ると、勝てません。
例えばファットマンとリトルボーイも広島や長崎に落としたから効果があったわけで、北海道に落としても意味はなかったでしょう。
そんな二次大戦。
ロシアへ攻め込んだドイツ軍。
主力戦車であったティーガー戦車は、自重があり過ぎ、ぬかるみに履帯をとられたり、橋を渡ることもできず、巨大な車体が災いしてトンネル通過ができなかったりしました(そのためか、よく鹵獲されました)。
また、そのピーキーなエンジンの整備性が問題になり、現場での稼働率は低かったと言われています。
反面、至近距離の砲撃にもびくともしない重装甲と、圧倒的な火力を誇っており、優秀な戦車長と砲手が揃えば、平原における会戦では無敵を誇ったそうです。
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名古屋公演で僕が感じたのは、「真野恵里菜を活かせる環境とはなんなのか?」ということでした。
ドングリーズ先生も書いていますが(それは帰りの新幹線でちょっと話し合ったネタ)、
真野恵里菜というアイドルの魅力というのは、彼女の持つ「世界観やバックボーンを含めての部分」だと思うのです。
世界観っつーのは、ピアノ弾き語りであったり、ソロ歌手という存在感であったり、神奈川の田舎者であったり、何気にSッ気があるトコだったり、女優としてのみなぎる自信であったり、泣き虫だったり、負けず嫌いだったり、人当たりがよかったり、そういう個性全部をひっくるめたもののコトです。
逆に言えば、世界観あっての真野恵里菜であるわけで、そこを活かさなければ運用できているとは言えないわけです。
そういう意味で「歌手」である彼女というのは、かなりクセ者なんだな、と思ったのです。
対照的に、自身の世界観なんて必要なくて、楽曲と歌唱力の一発でノープレブレムな歌手もいます。
ハロプロだとBuono!やメロン記念日あたりですかね? Berryz工房もそうかも。
「OSOZAKI娘」や「まつ毛の先に君がいる」に代表されるように、
彼女がその力を発揮する「歌」というのは、自分を投影したものが多いです。
つまりファンであれスタッフであれが、彼女らしい魅力を感じているのは、「素」に近い、生の真野恵里菜っぽさなわけです。
なにしろデビュー曲に自分の名前が入ってますからね。松本伊代クラス(笑)なわけですよ。
言い換えれば、いかなる場であろうと、自分の持つ世界観に染めちまえば、それで勝ち…つうか、まあOKなわけです。
しかし、彼女の「歌唱力」や「表現力」はまだまだですし、
残念ながら「楽曲の持つ力」というのでは、
どこでもなんでも彼女色に染めることができるかっつーと、なかなか出来ません。
そのための環境を用意するのがスタッフの仕事なわけです(あと、オーディエンスの優しさも2割りくらい必要)。
事実。
正月などのハロコンでは、唐突に出現してピアノで2曲くらい演る真野ちゃんというのは、
ものすごく異質であり、異色なものとして認識されていると思います。
かつての前田ゆきどんのように…。いや、ゆきどんは会場を魅了できる歌唱力がありました。演歌でも。
でも、真野ちゃんの力だけでは、会場がキョトンとしてしまうのです。
まぁ楽曲の力が弱いというのが大きいんだけどね(これは℃-uteもじつは同様で、楽曲が弱いヤツでは会場がキョトンとする。例:SHOCK!、暑中お見舞い、江戸の手毬歌2)。
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しかるに。名古屋での公演とはなんだったのか、どうだったのか。
真野ちゃんのみの視点で見てみましょうか。
●ウリャホイ的ではなく曲をじっくり聞くことでこそ盛り上がるべき曲が、のきなみショートVer.にされていた。
●おざなりなピアノ演奏の扱い。
●一緒に歌ったり、バックダンサーにしたり、スマイレージとの関係性(主従)の不明瞭さ。
●カバー曲多用による、真野恵里菜色の希釈。
●冒頭に「まつ毛の先に~」を持ってくるセットリストの怪。
●スマイレージのファンとでは、楽曲そのものの楽しみ方が違うハズの真野ファンが。
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前述の、真野ちゃんの世界観を作るためのスタッフの配慮は、ありていに言えば皆無でした。
スマイレージのためのお披露目イベントに、真野ちゃんの要素を足しただけ。
僕にはそう見えました。
真野ちゃんのための時間ですら、彼女の魅力を出せないようになっていた(罠か!)とすら思えました。
ブログなどから推察できるように、時間がないために全員がリハーサル不足だったのは明白です。
取られた策が、簡単なセットリスト。
いままでやったことある曲、いっしょにやったことのある曲、なじみのある曲をセレクトして組み立てているセットリストです。
とくに練習が必要なピアノ演奏は、極力抑えられていましたし。
カバー曲のセレクトからも、それは伺えます。
全部新人公演やハロコンでやったやつばっかりなんです。
★
この日のパフォーマンスを見ながら、残念な気持ちがどんどん出てきて、ちっとも楽しめなかった僕でした。
彼女はこんなに楽しそうに、一生懸命やっているのに、気持ちの盛り上がりがすぐに寸断されてしまう。
僕を真野ちゃんの世界観へ引き込むための演出がまったくないのですから、冷静になるのは当然です。
世界観崩壊の最たるものは、カバー曲に始まり、カバー曲に終わると言う、ハッキリ言って客を舐めた構成です。
「グルグルJUMP」「JUMP!」「I know 」。いずれもハロコン全体曲になったこともあり、ノリもよくて人気のある曲です。
演っときゃぁ客が勝手に盛り上がる曲です。
真野、スマのジョイントである意義も、コンセプトも、なにも感じません。
どうせカバー曲であるならば…
真野>>ごっちん、ミキティ、なっちなどのソロ歌手の曲。
スマイレージ>タンポポやメロン記念日などの、4人組であることが活かせる曲。
とかさ! そういう「意図」をね、感じさせてほしいのですよ!
こっちはバカじゃねぇんだよ。跳ねてりゃいいわけじゃないんだ。
感動を分かち合いにきてんだからさ。
素直にスマイレージにがんばれ!と言わせてくれよ。
真野ちゃんに良かったよ!と言わせてくれよ。
彼女たちの魅力を120%引き出してこそのコンサートじゃないんかい?
なんというか、最近のコンサートではこういう曲あまりやらないから…的なイベントの選曲みたいでしたよ。
シングルばっかりとかさ。なんだそりゃ。
まだ真野ちゃんもお披露目の時期だと思ってんのかぃ?
もうね、こりゃイベントですよ。キューティーランドとかのレベルですよ。
いや、あっちのが、もっと世界観満点でした。
梅さん(名付け親)ゴメン。
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極めつけは「ラッキーオーラ」がブツ切りになった時でした(2コーラス目の詞がすきなんです)。
「あぁ、真野ちゃんは、女優としてだったら、あんなに簡単に自分を「世界」に引き込んでくれるのになぁ…」と、偽りなく思ってしまったのです。
「女優としてだったら」、だと!!!!!!
……我ながら、恐ろしいことを思ってしまいました!
さぁー困った、困った。困ったことになってきたぞぅ~。(MC・カッパー風に)
■参考資料・セットリスト
1.グルグルJUMP(全員、フル)
MC1.挨拶(全員)
2.オトナになるって難しい!!!(スマイレージ、フル)
3.あすはデートなのに今すぐ声が聞きたい(スマイレージ、ショート)
4.まつげの先に君がいる(真野、ショート)
MC2.近況(真野)
5.春の嵐(真野、フル)
6.OSOZAKI娘(真野、フル)
7.夢見る15歳〔フィフティーン〕(スマイレージ、フル)
MC3.想像力を鍛えるコーナー(スマイレージ)
8.ぁまのじゃく(スマイレージ、ショート)
9.スキちゃん(スマイレージ、フル)
MC4.イベント宣伝(スマイレージ)
10.乙女の祈り(真野、ショート)ピアノ演奏
11.ラッキーオーラ(真野恵里菜withスマイレージ、ショート)イントロだけピアノ演奏
MC5.客席煽り(全員)
12.はじめての経験(真野恵里菜withスマイレージ、ショート)
13.LOVE&Peace=パラダイス(真野恵里菜withスマイレージ、ショート)
14.JUMP!(全員、ショート)
15.I know(全員、ショート)
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